ハウジング・トリビューンVol.680(2024年6号)

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特集:創樹社40周年企画 住まいとは何か?

発売日 : 2024年3月22日

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説明

創樹社40周年企画 住まいとは何か?

あらためて問われる住まいのアフォーダビリティ

資材や人件費のアップなどにより住宅価格が高騰、地価上昇も加わり住宅取得環境が急激に悪化している。
(独)住宅金融支援機構の「フラット35利用者調査(2022年度)」を見ると、注文住宅の建設費は3715.2万円(前年比4.1%増)、年収倍率は6.9倍(同0.1ポイント増)、建売住宅の購入価格は3719.0万円(同3.2%増)、年収倍率は6.9倍(同0.1ポイント減)、マンションの購入価格は4848.4万円(同7.1%増)、年収倍率は7.2倍(同±0)、中古戸建住宅の購入価格が2703.6万円(同3.4%増)、年収倍率は5.7倍(同±0)となっている。

また、(一社)住宅生産団体連合会の「2022年度戸建注文住宅の顧客実態調査」によると、戸建注文住宅の建築費は4224万円(同10.7%増)、土地代を加えた住宅取得費は6370万円(10.2%増)と、共に前年から1割ものアップとなっている。借入金の年収倍率は5.12倍(同0.12ポイント増)だ。
住宅価格は、ウッドショックを皮切りにエネルギー価格高騰、コロナ禍でのモノ不足などを背景として部資材価格が一斉に上がったことから急激に上昇してきている。

さらに所得の低下が住宅取得環境の悪化に拍車をかける。厚生労働省の「国民生活基礎調査 2022年調査」によると、一世帯当たりの平均所得金額は545.7万円(同3.3%減)。平成6年の664.2万円をピークになだらかな減少が続いており、近年は13年の528.9万円を底に上昇に転じ、20年は564.3万円まで戻していたが、今回20万円近くの減少となった。先の金融支援機構の調査に見ることができる通り、年収倍率は約7倍にまで拡大している。

ただ、〝経済格差〟が顕著になっており、平均所得金額以下の割合が61.6%を占める一方、1000万円以上の割合は12.6%と1割を超える。こうしたなか住宅事業者やデベロッパーでは、ターゲットを一定以上の所得があるパワーカップルなどに絞り込む戦略を打ち出す企業、また、注文住宅に比べて価格を抑えた分譲住宅に力を入れる企業など事業モデルの転換が進んでいる。